多発性硬化症の早期治療の大切さ
多発性硬化症(MS)は、多くの場合、「再発(症状が出る)」と「寛解(症状が治まる)」を繰り返します。
そのため、MSを治療せずに放っておくと再発を繰り返し、体の機能の障害が徐々に進行してしまうことも少なくありません。
MSと診断されたら、“早いうち”から適切な治療を開始して、継続することが大切です。きちんと再発を防ぐことで、将来的な障害進行を抑えることが期待されます。
ケシンプタ®はこんなお薬です
MS患者さん※の再発を防いで、障害の進行を抑えることが期待されます
※:再発寛解型のMS患者さん、疾患活動性を有する二次性進行型のMS患者さん
投与開始4週後以降(維持期)は4週間ごと★の投与で治療でき、投与の準備~廃棄を通じて在宅でも手順が簡便な「自己投与」が期待できる、 “ペン型”のお薬です
★:ケシンプタの用法及び用量
通常、成人にはオファツムマブ(遺伝子組換え)として1回20mgを初回、1週後、2週後、4週後に皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。
Q. ケシンプタの投与スケジュールは?
まずは初回・1週後・2週後・4週後に、投与開始4週後以降の維持期では4週間ごとに、ペン1本分を皮下投与(皮膚の下に投与)します。
Q. どんなペンなの?
キャップを取って、ペンを投与部位に押し付けることで投与が完了する“ペン型”のお薬です。
投与の準備~廃棄を通じて手順が簡便です。
■ペンの使いやすさ 3つのポイント
※:G(ゲージ)の数値が大きくなるほど、注射針の太さが“細く”なります。
一般的な皮下投与(インフルエンザワクチンなど)では、22~25Gが使用されています。
Q. ケシンプタはどうやって効くの?
まずは多発性硬化症と、白血球の一種である「B細胞」などとの関係性について知っておきましょう
多発性硬化症(MS)は、中枢神経(脳・脊髄・視神経)の軸索を覆っているミエリンが損傷されることで、様々な症状があらわれる病気です。
MSの発症・再発・進行には、白血球の一種であるT細胞やB細胞などのリンパ球が関わっていると考えられています。
本来であれば、これらは自身の体を守る免疫細胞として働くのですが、MSの場合、特にB細胞は、体内のリンパ節ではT細胞に作用してT細胞を活性化させたり、炎症物質を分泌してT細胞を活性化・増殖させたり、中枢神経では自身のミエリンを攻撃する自己抗体を産生したりなど、免疫系に異常を起こして、ミエリンの損傷に関わっていると考えられています。
■多発性硬化症(イメージ図)
【用語解説】・ミエリン:軸索を覆う“電線のカバー”のようなもの。ミエリンが損傷されると、軸索がむき出しになり、情報がうまく伝わらなくなる。
ケシンプタは、MSの発症・再発(ミエリンの損傷)に関わっているB細胞と呼ばれるリンパ球を血液中から除去するお薬です
ケシンプタは、B細胞の表面に存在する「CD20」という目印に結合すると、MSの発症・再発(ミエリンの損傷)に関わっていると考えられているB細胞を壊して、血液中から除去します。
その結果、B細胞が体内からいなくなることから、免疫系の異常が緩和して、ミエリンの損傷が抑えられることが期待されます。
■ケシンプタ投与後(イメージ図)
Q. 保存方法は?
医療施設(病院、薬局 など)で受け取ったケシンプタは、自己投与を行う時まで、箱に入れたまま「冷蔵庫」(2~8℃)で保存#してください。
(冷凍庫などで凍結させないでください)
#やむを得ず室温(30℃以下)で保存する場合:
「7日間」は保存可能ですが、この期間内に使用しなかった場合は、冷蔵庫に戻し7日以内に使用してください。
■ケシンプタ保存時の注意事項
「冷凍庫」には入れない
(凍結させないこと)
チルド室、野菜室、冷気の吹き出し口付近には置かない
(凍結させないこと)
直射日光の当たる場所に放置しない
子どもの手の届かない場所に置くなど、子どもの手に触れさせない