参考:鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症- 2020年版(改訂第9版), p38, ライフ・サイエンス, 2020
最優先に対策すべきは、まず花粉を避けることです。
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の対策や治療には数多くの方法があります。どの方法を選択するかは病型や重症度によって異なりますが、どのような病型や重症度であっても、まず最優先で取り組みたいのが、花粉を避けることです。
花粉症の薬を飲み始めたとしても、花粉を避ける対策をとらなければ、薬の十分な効果が得られない可能性があります。
花粉を避けるコツを紹介します。
スギ花粉の回避
① 花粉情報に注意する。
② 飛散の多い時の外出を控える。
③ 飛散の多い時は、窓・戸を閉めておく。
④ 飛散の多い時は、外出時にマスク・メガネを着用する。
⑤ 外出時、けばだった毛織物などのコートの使用は避ける。
⑥ 帰宅時、衣服や髪をよく払い入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
⑦ 掃除を励行する。
参考:鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症- 2020年版(改訂第9版), p42, ライフ・サイエンス, 2020
また、「血清特異的IgE検査」や「皮ふテスト」の結果、スギ花粉以外のアレルゲンからも影響を受けやすいタイプだと診断された人は、スギ花粉以外のアレルゲンも避ける対策をとることが重要です。
特に、ダニ(死がいを含む)やペット(毛や皮ふがアレルゲンとなる。特にネコ)について対策をとることをおすすめします。ダニ対策はこまめな掃除や寝具の手入れ、ペットはできれば飼育しない、飼育する場合はできるだけ環境を清潔に保つ、などの対応が大切であるといわれています。
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)治療には
さまざまな選択肢があります。
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に対してはさまざまな治療法が開発されており、主なものには「薬物療法」「アレルゲン免疫療法」「手術療法」があります。
薬物療法
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に対する治療薬はこれまでに数多く開発されており、患者さんの病型や重症度に応じて抗ヒスタミン薬などの経口薬や鼻噴霧用ステロイド薬などの点鼻薬、点眼薬、注射薬などから医師が選択し、処方しています。ゾレアは注射薬となります。
アレルゲン免疫療法
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の原因となっているアレルゲン(抗原)エキスを、注射や舌の裏からの投与により体の中に少量ずつ取り入れることによって、2~3年以上の時間をかけて体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。なお、対象となる花粉の種類は、現時点(2019年11月時点)ではスギ花粉のみです。
手術療法
手術療法は、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の症状のなかでも鼻づまりが特に重い人に対する治療法です。鼻の粘膜を切除して、鼻の通りをよくすることを目的とします。レーザー手術装置の進歩によって、出血なく、日帰りで治療を行える医療機関も多いです。また、最近は鼻水をとめることを目的として、鼻に通っている神経を切断する手術も広まってきています。
ただし、その効果は長く続くとは限らず、再発することもあります。