治療法は「外用療法(塗り薬)」「光線療法」「内服療法(飲み薬)」「生物学的製剤(注射薬)」の4種類
乾癬の治療法には、大きく分けて「外用療法(塗り薬)」「光線療法」「内服療法(飲み薬)」「生物学的製剤(注射薬)」の4種類があります。それぞれの治療法に長所と短所があり、それらを考慮しながら患者さんの皮疹の重症度やライフスタイルに合った治療法を選択します。これらの治療法は、1種類だけで行われることも、いくつかを組み合わせて行われることもあります。
外用療法(塗り薬)[1]
- 乾癬治療の基本となるもので、一般的には、まず外用療法から始めます。
- 外用療法では、ステロイド外用薬、活性型ビタミンD3外用薬という2種類またはそれらの配合剤が用いられています。
- 外用療法の効果を十分に得るためには、次のことを守るようにしてください。
外用薬の塗り方
- 毎日塗る
- 強くこすりつけず、指の腹を使って優しく塗り広げる
- 入浴後など、体が乾かないうちに塗る
- 鱗屑(りんせつ)は無理にはがさない
- 外用療法で良くならないときに光線療法が行われます。光線療法と外用療法、あるいは内服療法を組み合わせて行うこともあります。
- 皮膚に直接紫外線を当て、乾癬患者さんの過剰な免疫反応を抑えることで皮疹を改善します。
- 紫外線はいくつかの種類があり、乾癬の治療にはUVA(長波長紫外線)とUVB(中波長紫外線)が用いられます。UVAを使用する治療法を「PUVA(ぷーば)療法」、UVBを使用する治療法を「UVB療法」といいます。
- 光線療法を通院で行う場合は、1週間に1、2回の通院が必要となります。
生物学的製剤[1][4]
- 2010年から行われるようになった治療法で、外用療法や内服療法など他の治療法で効果がみられない患者さんに生物学的製剤による治療を行います。
- 現在使用できる生物学的製剤にはいくつかの種類があり、治療効果、投与方法、投与間隔、治療費などが異なります。例えば、投与方法には点滴(静脈注射)と皮下注射があります。皮下注射のなかには医療機関で指導を受けることにより、自宅で患者さん自身が行う(自己注射)ことができるものもあります(ただし、自己注射は医師が自己注射に適していると判断した患者さんのみが行えます)。
- 生物学的製剤による治療は、日本皮膚科学会が認めた医療機関のみで始めることができます。日本皮膚科学会のホームページの「生物学的製剤承認施設」でご確認いただけます。
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小宮根真弓ほか編著:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 第3章治療, 東京, 2019, メディカルレビュー社, pp.94-144.
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日本乾癬学会光線療法ガイドライン作成委員会:乾癬の光線療法ガイドライン, 日皮会誌. 2016;126(7):1239-1262.
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古江増隆総編集:ここまでわかった乾癬の病態と治療. Ⅳ. 治療, 東京, 2012, 中山書店, pp.208-278.
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日本皮膚科学会乾癬分子標的薬安全性検討委員会:乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2022年版), 日皮会誌:132(10),2271-2296.